原田けんいちとは(プロフィール)

わたしのお気に入り映画

『氷雪の門』

  終戦後60年を迎える今、あの大戦、大東亜戦争を生き抜いた人々は、 どのような思いで今日の日本の現状を見ているのだろうか。
戦火に散った多くの人々は、日本の未来に何を見ながら逝ったのであろうか。
残るものに何を託して逝ったのであろうか。

 21世紀最初の年に世界を震撼させた「9.11」米国同時多発テロが起こった。それは現代の新しいかたちの戦争であり、今世紀の戦争という最悪の幕開けであった。  今の私たち日本人の多くは、平和の中で生まれて、平和の中で育った来た、戦争という最悪の悲劇の現実が、私たちの意識の中で風化し始めている。
今日の日本の平和は、先の大戦での幾百万の犠牲者の命の上に築かれている。彼らの死の意味を私たちはどれほど考えて来たのだろうか。今の私たちは、果たして彼らの気持ちに答えているのだろうか。

 映画「氷雪の門」は、終戦後の北国の地、樺太を舞台にした9人の乙女の悲劇を描いた物語である。戦争への怒りと平和への願いをこめた「氷雪の門」と呼ばれる二つの塔は、今も、北海道稚内の突端に失われた樺太を望むがごとく立っている。

 30年前、この映画制作に当時、助監督として参加された 新城 卓さんは沖縄生まれの人である。彼は言う。「日本最南端、沖縄を舞台にした戦争映画は数々ある。そして、沖縄の悲劇については多くの人は知っていることである。しかし、最北端の樺太の悲劇は、知られていなかったのではないでしょうか。南の地、沖縄出身の私が、北の地、樺太で起こった、戦争の真実の悲劇を伝えるのは私の使命です」と。

 この映画はできるだけ多くの方々に観て頂きたい。とくに過去の戦争を知らない、21世紀を担う若者に多く観てもらいたい。この映画を通じて、戦争とは、平和とは、国とは、家族とは、そして生命とは、共に考えていきたいと願う。私自身、この映画を見て、自分が生を受け、今こうしてあることは、幾多の犠牲となって逝った、先人たちの深い繋がりの流れの中にあるのだということを改めて感じたのである。そして、私たちは、私たちが歩いて来た、終戦から今日に至る道程を振り返り、真実を見、真実を語り、あどけない笑顔の子供たちの未来に向かって揺るぎなき新しい一歩を踏みださなければならないのではないか。

日本という国のそして、日本国民である私たち自身の今後を歩むべき道を希求したい。